海外留学体験レポート B−3
アメリカ・メイン州・1年
S.N.さん(保護者) 留学中編 2008年7月掲載

 出発

成田空港経由でアメリカへ出発するAFS第54期夏組派遣生の集合は、2007年8月8日の朝7時、箱崎シティエアターミナルでした。絶対に遅刻できないので、4時に起きて、5時にクルマで出発し、6時には箱崎に到着。受付後のホールでのオリエンテーションで、NYまでは付添人がいることを知りました。その後、リムジンバスで成田空港に向かいます。希望する保護者はこのリムジンバスに同乗して成田空港まで行くことができます。成田空港まで行かない保護者は、ここで「行ってらっしゃい」です。

バスが出発するのを見送ってから、クルマで追いかけたら、道半ばでそれらしいバスを追い越しました。先に成田空港に到着し待っていると、ほどなく派遣生たちがぞろぞろやってきました。チャックインの後、一度解散して再集合となったので、前日の最後の晩餐で食べ損なったクレープを親子で食べました。

向こうから電話をかけるときのために、3000円の国際テレホンカード゙を買って与えました。HPで調べたら、アメリカから日本への電話が最も安いのは、KDDIスーパーワールドカードで、一般電話へが1分30円程度、携帯電話へが1分50円程度です。3000円で3200円分使えます。また、NTTコミュニケーションズのワールドプリペイドカードも大差なく、一般電話へが1分40円程度、携帯電話へが1分60円程度で、こちらは3000円で3400円分使えます。両方とも、成田空港の自動販売機やお店で売っています。

ほどなく再集合の時間となりました。そして、みんなで元気に出発していきました。

 荷送り(重量オーバーで持っていけなかった荷物)

自宅に戻ったらその足で、荷送りをしました。9キロくらいの段ボール箱1個です。郵便局のEMS(国際スピード郵便)で、送料は12900円でした。

 電話(NY到着)

NYからその日のうちにメイン州に向かうのかと思っていましたが、ホリディインに1泊でした。そのホテルから、「無事NYまでは着いた」電話がありました。

 ホストマザーからのメール(NY到着の翌日)

出発日に「無事出発しました」というメールを送ったら、「あなたの娘と会うのを楽しみにしている」という返信が来ました。「状況はメールでお伝えしましょうか」とあったので、「お忙しいでしょうから、頻繁なご連絡は不要です。ビッグニュースがあったときはお教えください」と返信しておきました。

 メール(1週間後)

現地到着の1週間後、向こうでフリーメールのアドレスを取得した娘から、誤字脱字なしの英文メールが来ました。ホストファミリーのパソコンを借りたようです。内容は予想通り、「カネオクレ」でした。

「現地での生活費とお小遣いの合計で、1か月200ドル」という約束になっていたのですが、「YMCAのスイミングチームに加入するので、チーム水着やチームキャップなどで62ドルかかる」とのこと。その分を送金しました。

 ホストマザーからのメール(2007年9月)

娘からはその後約1か月半、何の音沙汰もありませんでした。AFSでは、「あまり頻繁に日本と電話やりとりするのは、現地の文化に溶け込もうとする際の障壁になるし、ホストファミリーにも好ましく思われない。なので日本からパソコンを持っていっての日本語メールやりとりも原則禁止」とのことなので、「便りがないのは無事な知らせ」とのんびり構えていました。

いつまでもハガキ1枚書こうとしない娘に、おそらく気を利かせてくれたのでしょう、ホストマザーが娘の近況をメールで伝えてくれました。「楽しく笑顔で過ごしている、しかし英語には苦しんでいる」とのことです。

 手紙(2007年10月)

現地に到着して2か月後、手紙が来ました。「英語の生活には慣れて、ブロークン・イングリッシュでも気にせずにしゃべれるようになってきたので、日常会話はなんとか通じているけど、授業で使われる英語はまだまだ難しく、『教科書を読んでこい』と言われた日には地獄・・・」とのことです。

 メール(2007年秋〜冬)

その後、「カネオクレ」とか「アメリカ史の授業が全然理解できない、日本語のアメリカ史の本を送ってくれ」とか「自分の自転車の写真を送ってくれ」とか「デジカメが壊れた」とか「学校に授業で使うので親戚の人たちの写真を送ってくれ」とか、何回かメールが来ました。当初は誤字脱字だらけの英文メールでしたが、その後ローマ字のすごく読みにくいメールに退化しました。「こんなことで大丈夫なのだろうか」とだんだん心配になってきましたが、冬になってまた誤字脱字だらけの英文メールに戻りました。

 電話(2007年10月)

アメリカ史の授業はよほど悲惨な状況になっているようで、「日本語のアメリカ史の本、早く送ってくれ」と電話がありました。ホスト宅の庭の木が美しく紅葉している、とのことです。

 荷送り(2007年10月)

日本語のアメリカ史の本と、英語の日本ガイドブックを送りました。1330グラムで、郵便局のEMS(国際スピード郵便)の送料は3200円でした。

 手紙(2007年11月)

現地は雪の舞う季節となり、奨学金をいただいたジブラルタ生命へ提出するレポートを書き始めたようです。学校の水泳部がそろそろ活動を開始するので、これから春までは、学校の水泳部の練習が週3日、そして放課後は週5日YMCAのスイミングチームの練習、とのこと。そして、YMCAのスイミングチームの大会で自己ベスト(100ヤードバタフライ・1分20秒10)が出た、とありました。水泳大会で入賞するともらえる大きなリボンが、3枚同封されていました。

 荷送り(2007年12月)

クリスマスプレゼントを贈りました。ホストファーザーとホストマザーには外人向けの着物(成田空港で購入)、ホストシスターにかんざし、ホストブラザー2名に正月遊ぶセット(羽子板と墨と筆、コマ)、本人にはマンガ本と小説の文庫本です。

 手紙(2007年12月)

クリスマスプレゼントが届いた、と手紙がありました。現地では、もらったプレゼントはクリスマスツリーの下に置いておき、クリスマスの当日に開けるそうです。冬本番で、スノーストームで学校が休みになったり、アイスレインのため水泳大会が中止になったりしているとのこと。

また、滞在4か月にして、はじめて英語の夢を見た、とありました。でも、書き間違いをぐりぐり直した「みの虫くん」が2枚の手紙に7カ所もあり、その見返りにしっかり日本語能力が低下している模様です。水泳大会入賞リボンは今回は7枚でした。月に2回くらいは水泳大会があるようです。

 メール(2007年12月)

Hi, How are you?
Yesterday, I had swim meet. And I got two best times!!
100yard fly is 1'19"97 and 50yard Free is 30"17.
If I can swim 100yard fly under 1'19"00, I can go to the state swim meet.
And also if I can swim 50yard Free under 29"00, I can go to the state swim meet too.
State swim meet is February. Probably host brother will go.
So I want to go with him.

 届いた荷物(2007年12月)

クリスマスプレゼントが贈られてきました。母親にはオルゴール、私にはメイン州名産のロブスターの食べ方を描いたマグカップです。これまでロブスターを食べたことがなかったので、このマグカップを持って、近所のレッドロブスターに行って、ロブスターを注文しました。1番小さい1〜2名様用のものでも4914円もして、びっくりしました。メイン州ではロブスターがいくらくらいなのか、気になるところです。

 メール(2007年12月の終わり)

Today we had swim meet. And I got two new best times!!
100fly is 1'18"79 and 50free is 29"98.
So now I can go to states swim meet as 100fly.
And I think probably I can go to states meet as 50free too.
Because today my start was so bad. I mistook.
So in next swim meet, I think I can swim faster than today.
I will do my best. See you

 荷送り(2008年1月)

娘に誕生日プレゼントを贈りました。メールで、「アレキサンドラオーラのLOVEハートチャームレディース腕時計というやつが欲しい」と連絡してきたので、ネット通販で探しました。2つのハートが文字盤の上でころころ動くおもちゃのような腕時計です。定価は48000円ですが、ネット通販の相場は3000円台の前半でした。なんでこんなに定価と実売価格が違うのか、謎です。

 手紙(2008年1月)

誕生日プレゼントが届いた、と手紙がありました。プリペイド式の携帯電話を買ったけど、電話よりもメールの方が高い、とのこと。また、自己ベストは50ヤードフリーが29秒19まで縮まって、州大会出場資格タイムまであと0秒09。500ヤードフリーも計測してみたら、州大会出場資格タイムまであと10秒なので、こっちも狙うとのこと。同封されていた水泳大会入賞リボンは、今回は6枚でした。

 ジブラルタ生命から届きもの(2008年2月)

突如、「AFS−ジブラルタ生命奨学金第2期生レポート」が届き、驚きました。ジブラルタ生命奨学金第2期生12名のレポートとカラー写真が掲載されている小冊子です。じっくり読みふけってしまいました。奨学生たちはみな、元気に楽しく、前向きに生活を送っているようです。

奨学生にはジブラルタ生命から「2007年の年末までに留学生活についてのレポートと写真を提出すること」という課題が出ていましたが、それがこのような小冊子にまとめられて保護者に送られてくるということは、保護者には知らされていませんでした。娘のページに掲載されていた写真は、すでに電子メールで送ってきて見たことがあるものでしたが、AFSの方に話によると男子の派遣生の中には筆無精で1年間ほとんど何も連絡してこないという子もいるそうなので、そのような親不孝な子供を持った親にとっては、この小冊子は涙の出るほどうれしい突然のプレゼントになることでしょう。

奨学金の出し方(貸与ではなく支給、それも全額)、奨学金授与式への招待方法(交通費だけでなく、遠距離の奨学生と保護者の場合は宿泊費まで出してくれる)、奨学金授与式後のパーティー(見た目はそれほど豪華には見えないが素晴らしく美味しいものばかり)、そして今回のレポートと、ジブラルタ生命のやることは万事、粋です。深い思いやりと高い知性を感じます。わが家は今後、生命保険に入るときは、迷わずジブラルタ生命にします。

 電話(2008年2月)

「吹雪で停電して、テレビもパソコンもダメなので、やることがない」と電話してきました。停電はこの冬でもう3回目、今回はなかなか復旧しない、万事問題なくとてもハッピーにやっている、とのこと。

 荷送り(2008年2月)

もうすぐ雛祭りで、日本のお菓子に飢えているだろうと、雛あられと和三盆の干菓子を送りました。

 メール(2008年2月)

送った荷物とすれ違いで、春の小休みに旅行(AFS留学生向けのツアー)に参加してもいいか、費用は250ドルでケベック5日間、というメールが来ました。州大会に行って来た、詳細はまたあとで、とのこと。

 手紙(2008年3月)

母親のバースデープレゼントとして、全長30センチくらいのロブスターのぬいぐるみが届きました。英語は、ようやくみんなが使っている言葉の意味が分かるようになってきた、でもやはり大きな問題は絶対的にボキャブラリーが少ないことだ、とのこと。

水泳の方は、いくつかの州大会に出場し、最後の大会の100ヤード・バタフライで、1分17秒97の自己ベスト。同封されていた水泳大会入賞リボンは今回は12枚で、1枚だけ大きな大会であることを感じさせる大きなリボンがありました(写真)。HEAT WINNER とは、たぶん予選の1位ではなくて、予選通過という意味でしょう。9月は1分23秒くらいだったので、わずか半年で5秒も縮まりました。

また、9月〜3月の学校のスポーツ系クラブ活動(水泳、バスケ、レスリング、チア、インドアトラック)に参加した生徒の中から、とてもよくがんばった子に贈られる SPORTS AWARD の MOST VALUABLE に選ばれて、賞状とトロフィーをもらった、とのこと。賞状をもらってにんまりの写真も同封されていました。

 メール(2008年3月)

ケベック・ツアーの詳細を伝えてきました。移動はバン(日本で言うミニバン)、宿泊はYMCAホステルの相部屋でシャワーはプールにあるものを使用、旅行費は3泊4日で250ドル。メイン州のオーガスタからカナダのケベックは、直線距離で350キロくらいしかないので、安い旅行はバンで移動なのでしょう。

 メール(2008年4月)

娘は卒業学年ではないですが、卒業学年のひとつ下の学年もプロムに参加できるルールとのことで、プロムに着ていくドレスの写真(現地では意外に安く手に入るらしい)を送ってきました。

しかし、エスコートしてくれる男子が見つからないと、プロムには参加できないので、そちらの方が大問題と思います。毎日一緒にクルマで高校とYMCAプールに行ってくれているホストブラザーのZachは、卒業学年で女の子にモテるスポーツマンなので、プロムまでは娘の相手をしていられないはずです。どうなることやら。

 届いた荷物(2008年5月)

「帰りも荷物の重量に苦しむことは間違いないので、いらなくなったものは早めに送れ」とメールしておいたら、真冬用のコートや厚手のセーター、もらったクリスマスプレゼント、大きな記念写真や表彰状などを送ってきました。やや小ぶりな段ボール箱2個で送料は140ドル。現地では「船便は荷物の紛失が多い」と不評なので、今回は航空便です。やや大きめの段ボール箱1個にすれば、送料はもう少し安くなるのかもしれません。

 メール(2008年5月末)

マサチューセッツ州のボストン(メイン州のオーガスタから直線距離で約250キロ)に遊びに行ったようで、ハーバード大学・生協カフェとチーズケーキ・ファクトリー(現地で大人気のレストラン)の写真を送ってきました。高校の水泳部は春で活動が終わり、またYMCAのスイミングチームも春で一段落して、さらにはプロムも終わって、ということは学校はもう夏休みで、たっぷりと暇がある模様です。現地でiPodを買いたい(アメリカの方がたぶん安い)のでお金を貸してくれと言うので、参考までに日本の相場を伝えておきました。

 帰国

ニューヨークから成田空港に戻ってくるAFS第54期夏組派遣生の帰国は、2008年7月2日のJAL便でした。定刻16時25分着ですが、ニューヨークを離陸した頃合いを見計らってJALのホームページの発着案内のコーナーで調べたら、少し遅れて16時40分着となっていました。

到着フロアの電光掲示板を見ていたら、到着、降機、税関と表示が変わって、到着してから45分後くらいに、AFS生たちが出てきました。出国時の様子と比べると、歩き方や立ち居振る舞いが落ち着いていて、明らかに成長したように見えましたが、単に14時間近いフライトで疲れ切っていただけかもしれません。その場で点呼をして、解散です。この便で帰国したのは総勢65名とのことでした。

帰路、久しぶりの日本食は牛タンがいいと言うので、最後の晩餐で行った吉祥寺のネギシに寄ってから帰宅しました。